ＫＰＭ陶板画独特の透き通るような渋く美しく何とも言えない色彩で、 ラファエロの名画（の一部）を実に見事に再現している、飾り栄えのするとてもレベルの高い作品です！！！

ところで、陶板上に絵画を描くには、ひとつひとつの色に対して、窯に入れて焼き上がった後の（顔料の）色彩的な変化を 考慮しながら、何回にも分けて絵付け工程と焼き入れ工程を繰り返すという、煩雑で正確な作業が必要となります。 そういった気の遠くなるような手間を惜しまず、こんな素晴らしい作品を後世に残してくれた１９世紀の職人の技術や情熱に対して、 筆者はただただ敬意を払うのみです。

なお、１９世紀のベルリン窯（ＫＰＭ）は、各地の絵付け工房に対して無地の陶板を供給していた事が知られていますが、 当然、工房によって技術の優劣もかなり有り、従って、それらの作品の間では、質的に大きな差が生じる事になりました。 今日、ブランドに弱い（？）日本市場において、ＫＰＭの陶板画というだけで、極めて稚拙な絵付けが施された作品が、 国際的には全く通用しない信じられない値段で売買されているケースをよく見かけますが、この作品は、 そういった二級や三級の作品とは一線を画する・・レベルの高い・・本当の・・ＫＰＭ陶板画です。

※写真は、焦点があまく多少の歪みと写り込みが有り、実際の色と若干異なっています。