※木口木版画とは、硬い木材の更に硬い木口（板目でなく年輪の面）を利用した版画です。密で硬い木口を細 かく彫り込むため、木版画とは思えない細密な線を刷る事ができます。しかも、銅版画と異なり、かなりの枚 数を刷っても版が傷みませんので、（高級な書物の図版を刷る技法として）一度は、銅版画や石版画に駆逐さ れた木版画が、木口木版画として、１９世紀の英国を中心に大復活しました。

コンディション ： ９０年以上も経過した古書ですから、当然ながら、表紙と背に、 当たりや擦れや多少の汚れおよび変色等が有り、綴じも若干緩くなっていていますが、肝心の図版（木版画）には、 一部にわずかなフォクシング（斑点状のシミ）・汚れ等が有るも 、その割合も非常に低く、 とりわけ傷みや汚れの多い絵本（児童書）にしては、非常に良好な状態を保っています。

ヴィクトリア時代に大活躍し英国を代表する女流絵本画家として世界的に有名なケイト・グリーナウェイによる、 とても愛らしい４１点余（表紙を含む）の多色刷り木口（こぐち）木版画が挿入された、非常に人気のある挿画本（絵本）です。 なお、本作品は１９０９年に刊行された第２版ですが、１８８２年に刊行された初版と同じ版木を使用して刷られており、 装丁や構成も、初版とほとんど同じ仕様になっています。

この『小さなアンの詩の本』は、幼少のグリーナウェイ自身が愛唱した１９世紀初めの人気児童文学作家 ジェイン＆アン・テイラー姉妹の４０篇の詩を絵本にしたものです。

１９９７年には、グリーナウェイの生誕１５０年を記念して、日本全国で 『ケイト・グリーナウェイの世界展』 が巡回開催され、 ノスタルジックで優しく親しみやすい絵を真摯に描き続けたケイト・グリーナウェイの熱心なファンが、日本国内でも急増してます。

なお、ケイト・グリーナウェイのイラストレーションは、ベルヌ条約（著作権に関する国際条約）に基づき版 権が消滅しており、あらゆる商品のデザイン・ソースとして利用できますので、そのベースとなる原本の人気 がますます高まっています。

※写真は、焦点があまく多少の歪みと照明による明暗や色ムラが有り、実際の色彩と若干異なっています。
※写真では、作品の一部に赤や青のうっすらとした斑点状のシミが有るように見えますが、実際の作品には有りません。