マイセン窯
フィギュア(人形:置物)
『トリトンの捕獲』
”Der Tritonenfang”
19世紀
ドイツ
伝説的な天才彫刻家ケンドラーが原型を作っただけあって
個々の瞬間的な表情と動作を見事にとらえている有名なモデル・・・
オールド・マイセンならではの
高い技術に裏付けられた細部にわたる緻密で丁寧な仕事・・・
高さ30cm超で非常に飾り映えのする
大型グループ・フィギュアの超人気作品です!!!
19世紀 ドイツ
底部に窯印(※)有り
※ 両下端にコブが有って、一般に ”ボタン剣” と呼ばれている、19世紀マイセン窯の典型的な窯印です。
なお、この作品の窯印には、「やや難あり」の作品であることを示すための彫り印が、
剣マークの下に1本だけ刻まれています。しかし、この1本の彫り印は、微々たる瑕疵(かし)で
正規作品になり得なかった「程度の良い規格外作品」である事を示しており(実際、2度目の審査で
マイセンのスタンダードをクリアして、正規の作品になるケースも間々あったそうです)、
更にこの作品は、制作後100年以上経過したオールド・マイセンであるため、
その間のダメージやその修復も含め、今となっては、どこの部分を問題視したのかを
正確には判断できませんが、台座に、制作時(焼成時)に起因する窯キズ(ヒビ状の割れ目)が有りますので、
当時刻まれた彫り印が示しているのはその部分の事だと思われます。しかしながら、18世紀に制作された
フィギュア作品には、ほとんどと言っても過言ではないほど、そういった(焼き入れの際にできた)窯キズが有り、
マイセン窯でも、当時は、そういった窯キズを必然的なものとして捉え大きな欠点とは
見なしていませんでしたので(18世紀のマイセン窯で制作されたフィギュア作品の
証拠もしくは特徴と捉える事もできますし、18世紀には、こういった窯キズのあるフィギュア作品に
彫り印はほとんど刻まれていません)、この様なレベルの作品なら、世界中のどの一流オークションにも
堂々と出品できます)。
参考文献 : ”Preis-Verzeichnis der Konigl. Sachs Porzellan-Manufactur in MEISSEN” Blatt 7 に類似作品(C35)掲載
※ 形状が複雑で細かい凹凸の有る磁土の彫塑を、原型通りに焼き上げるのは非常に難しく、
窯の中における焼成(磁土の収縮)を正確にコントロールする大変複雑で高度な技術が要求されます。
しかしながらマイセンでは、1700年代の初頭に中国や日本の渡来品を手本に磁器制作を開始してから、
わずか20年足らずで磁器彫塑の技術をほぼ確立しており、その進化のスピードは俄かには信じ難いほど驚異的です。
ちなみに、磁器制作においては先輩格の日本でも、江戸時代から、磁器彫塑を焼き上げる技術に挑戦してきましたが、
マイセン・フィギュアほどの(形が複雑で動きのある)作品を焼き上げる技術はついに独自では確立できず、
明治政府誕生後に留学生をマイセンに派遣し、その進んだ技術を取り入れようと試みています。
この 『トリトンの捕獲』 は、天才彫刻家ケンドラーの原型デザイン以来、
マイセン窯の定番として作り続けられてきた有名なモティーフの大型作品で、
マイセン・フィギュア・コレクターの重要収集対象作品のひとつとなっています。
※ ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(もしくはケントラー) [ Johann Joachim Kaendler or Kandler ]
( ドイツ : 1706 - 1775年 ) : アウグスト強帝によって見い出されマイセン窯のモデル部門長に
就任した彫刻家ケンドラーは、絵付け部門長であった画家ヘロルトや名工アシエール等とともに、
互いに切磋琢磨し競い合いながら、天才的な感性とテクニックで、マイセン窯の絶頂期を築き上げました。
そのケンドラーが制作したフィギュアの原型は、マイセン窯で大切に保管され、人気のあるモデルは、
その原型をもとに(場合によっては、型の細部に多少の手も加えられながら)その後も作り続けられました。
落札希望価格 | 最高入札価格 |
ご入札者 | 入札締切日 |
on request | \492,000. | Kazu | '03/10/24 |